新潟大学大学院医歯学総合研究科

研究内容_2 顎顔面部深部組織の慢性疼痛と中枢機構の解明

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顎顔面部深部組織の慢性疼痛と中枢機構の解明

 難治性の顎顔面部の慢性疼痛は 末梢指向性の治療では対処困難なケースが多い。その臨床所見からも慢性疼痛発生や持続の神経メカニズムは中枢神経系に依存すると考え られて来た。慢性口腔顔面痛の中枢処理機構を考慮する場合、例えば延髄の尾側部に位置する三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に着目する必要がある。何故か?顎関節、咀嚼筋、歯髄などの深部組織から侵害受容(疼痛)入力を受ける最初の中枢神経組織であるだけでなく高位脳からの下行性の入力を受けるという解剖学的にも極めてユニークな特長を持つからである。つまりVcは中枢神経における痛みの情報処理において ボトムアップのスタート地点であり、トップダウンの最終地点であると言える。
 さらにVcは 自律神経系等の植物機能によって興奮伝達が変調されることも臨床/基礎研究によって示されている。我々はこれまで顎関節の侵害受容反 応はストレスやホルモンレベルの変化によって変調されることを明らかにしてきた。そしてそのメカニズムは三叉神経脊髄路核尾側亜核の 侵害受容ニューロンの興奮性に依存する事実を示した。つまり顎顔面の慢性疼痛の実態を吟味した場合、診断、治療の指針を末梢機構だけ に原因を求めるのは十分ではないということである。我々はこの観点から歯科フィールドに特異的に見られる慢性疼痛機構を脳に焦点を当 て追求している。

【三叉神経脊髄路核尾側亜核からの活動電位】